40回目を迎える8耐の歴史の中でも異色のマシンは elf-e
1983年の8耐に参戦したELF-eは、空力抵抗を極力間で低減するカウル形状、フレームレス構造で、前後輪共に片持ちサス、センターハブステアリングという当時としてはかなり革新的なバイクでした。オイルブランドのELFがエルフプロジェクトとして、1988年までの10年間、いろいろなレーサーを生み出しています。
エルフプロジェクト
フランスの石油会社エルフ(elf)によって製作されたコンセプトマシン elf-X。
エルフプロジェクトは、F1のエンジニアでもあったアンドレ・ド・コルタンツ氏とエルフ社のレース部門のフランソワ・ギデール氏、アラン・ペランヌ氏の会話の中から始まったと言われる。バイクフリークでもあったコルンタンツ氏は従来のバイクデザインは自動車に比べて遅れていると考えて、コルタンツ氏が考える理想的な構造のバイクを実現することを目的としたチームがエルフ・プロジェクトだったそう。
elf-eとは
コンセプトマシンであったelf-Xをベースに、耐久レース出場を目的に開発されたのがelf-eだった。基本構成は elf-Xを踏襲していると言われ、elf-Xの各部にレースを戦うための改良が加えられた。
出典:Lawrence コカ・コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース第40回記念大会特設サイト
http://suzuka8hours.lrnc.cc/_ct/17080858
特徴的な片持ちフロントサスペンションはelf-Xの設計から細部を改良したものだったが、リアサスペンションは素材から再設計した片持ちタイプのスイングアームを採用していた。これは耐久レースに不可欠なタイヤ交換のスピードアップを考えたものらしい。また、カーボンファイバー製のブレーキディスクやマグネシウム製のホイールも当時としては革新的なものだった。
出典:Lawrence コカ・コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース第40回記念大会特設サイト
http://suzuka8hours.lrnc.cc/_ct/17080858
1981年に実戦デビューしたelf-eは、3シーズン世界耐久選手権の主なレースに出場し、徐々にスズキ、ホンダ、カワサキなどと互角に戦えるまで戦闘力を持っていた。1983年の鈴鹿8耐ではリアサスペンションのトラブルでリタイヤしたものの予選では9位を獲得している。この年の最終戦ムジェロ1000kmでは3位表彰台を獲得した。
世界耐久選手権がTT-F1の排気量上限を750ccへとレギュレーション変更したことにより、elf-eは耐久選手権から姿を消した。
youtubeに公開されてる動画
エルフプロジェクトとホンダ
エルフプロジェクトは、ホンダと提携することで、多くのバイクがホンダのエンジンを搭載していた。elf-eもRS1000のエンジンを搭載していた。
ホンダはエルフとの提携で、その後のホンダバイクに採用された片持ちスィングアーム(プロアーム)を導入することができたと言われている。